冬の巣ごもり整備でワゴンRのキャリパーのオーバーホールを行いました。
私の場合はスペアのキャリパーがあるんでスペアキャリパーのオーバーホールで、車両から外すこと無く可能となりました。
汚れの落とし方から塗装の仕方、シール類の簡単な組み方と詳しく紹介してるんでご覧下さい。
尚、長文になります。
ワゴンRのキャリパーのオーバーホール
今回ブレーキキャリパーのオーバーホール(以下OH)をするんですが、普通は車両からキャリパー外してOHして取り付けると思うんですが、私の場合はスペアのキャリパー持ってるんでそのスペアのキャリパーをOHします。
普通は持ってないスペアキャリパーなんですが、以前ワゴンRのローターを大径の物に交換してまして、その時買った大径ローターにキャリパーもセットになってたって事でスペアが存在します。
今回のOHするに当たってローターもノーマル径に戻し大径用ブラケットもノーマルに戻してます。
画像がスペアキャリパーと取り外した大径用ブラケットになり今回一緒に綺麗にします。
尚ワゴンRに大径ローター組む際にはヤフオク等で探します。
・スイフト用(HT81S、HT51S)
・シボレークルーズ用(HR51S、HR52S、HR81S、HR82S)
・Kei用(HN11S、HN12S、HN21S、HN22S)
・ラピュタ用(HP11S、HP12S、HP21S、HP22S)
とか探してみて下さい。
この4車種ともローターは大きいですがパッドが違いKei用とラピュタ用だけ軽自動車だからかパッドが小さくスイフト用シボレークルーズ用とかの方がパッドが大きくブレーキが効きます!
あとパッドが大きい方がローターに当たる面が広くローター全面ピカピカでカッコイイです。
デメリットとしては13インチタイヤは履けませんが・・・
ブラケットの分解清掃
スライドピン穴清掃
ブラケットから始めます。
まずはスライドピンが刺さる穴を掃除します。
グリスはクリーナーでは落ちない(溶けない)んでこのようなインパクトドライバーに取り付けるブラシが大活躍します。
徹底的に汚れたグリスを掻き取ります。
ブラケットの外観は真鍮ブラシで汚れを落としますが、ハッキリ言って落ちません。
後でサンドブラストで汚れを落としましょう。
金具清掃
ブレーキパッドを取り付ける金具も真鍮ブラシで磨いて汚れを落としますが元の色にはなりませんね。
金具のビフォーアフターですが多少綺麗になったかな?
サンドブラストで汚れ落とし
後はサンドブラストで汚れを落としましょう。
スライドピン穴にマスキングしてますが風圧で一瞬で取れました!
簡単にこの程度綺麗にしました。
この後塗装するんで適当です。
ブラケット塗装
シルバーで塗装します。
このスプレーはシャバシャバで簡単にタレるんでストーブで暖めながら塗装しました。
このまま一晩置いて乾燥させます。
これにてブラケットの掃除&塗装終了です。
ここで1日目終了です。
キャリパーの分解清掃
ブレーキホース取り外し
中古で買ったスペアキャリパーですがブレーキホースを取ります。
メガネレンチで緩めますが固定してないんで四苦八苦します。
キャリパー取り付け穴にドライバー突っ込んで簡易固定してブレーキホースボルト緩めます。
電動インパクトやエアインパクトがある方は使えば固定無しで一瞬で緩めれます。
ピストン取り外し
次はピストンを抜きます。
ピストンは車両に取り付けた場合は油圧で押してパッドを押さえブレーキが効くんで油圧の代わりにエアで押してピストンを出します。
エアで押す場合は勢いよく「ポン」って感じでピストンが出るんで木を挟んで少しづつ出していきますが、この時「絶対に指を挟まない」ように気を付けましょう!
エアダスターは先っぽにゴムが付いてる物がエア漏れが無くってお勧めで、出来ればレバーがゆっくり握れば少しづつエアが出せるのが使い勝手が良いです。
画像はブルーポイントのヤツでジワッと握れてお勧めですね。
エアで押して木の位置までピストンが出ました。
木を取ってウエス挟んで一気にピストンを出します。
これでピストンが抜けました。
オイルシール&ダストシールを外す
ここからはピストンが抜けたキャリパーのオイルシールやダストシールを取りますが、このような工具があると便利です。
右のピックツールは先が尖ってますのでシール取る際に引っかけて使います。
左のフックセットはゴムに傷つけない丸い色んな形状のタイプでダストブーツ組むときに便利な工具です。
ダストブーツは指でつまんで外れますが、画像のオイルシールは先の尖った工具で引っかけて外します。
ダストシールとオイルシールが外れました。
キャリパー内に見えてる液体はブレーキフルードです。
車両に取り付けた際のブレーキフルードのエア抜きに使用するブレーキブリーダーボルトもここで外しておきます。
ブレーキブリーダーボルトは詰まってないかパーツクリーナー吹いて確認及び掃除します。
キャリパーをサンドブラストする
みんな大好きサンドブラストでキャリパーの汚れを落とします。
途中経過でマダラになって汚れが落ちてます。
メディアは珪砂しか使ったこと無いんですが、アルミナとかの方がもっと簡単なのかな?
サンドブラスト完了で一皮剥けたかんじです。
サンドブラストは砂を空気圧でぶつけるんでキャリパー内に向けなければマスキングは要らないでしょう。
ピストンの汚れを落とす
外れたピストンですが汚れてます。
ピストンは汚れだけなら使えますが、錆び等で窪みがある場合は交換になります。
少し磨いて綺麗になりました。
サビは無いのでこのまま使いますね。
ピストンの窪みにハマってるシムですが塗装がめくれてますがこのまま使いましょう。
これもサンドブラストすれば良かったかな?
キャリパーの塗装
サンドブラストで綺麗になったキャリパーです。
もっと完璧に表面綺麗にすることは可能ですが、家庭用コンプレッサーでは時間が掛かるし塗装するんでこの辺で塗装に移ります。
エアで砂を吹き飛ばしクリーナーで脱脂します。
キャリパー内は塗ってもブレーキフルードで塗料溶けるんで塗らないようにマスキングして穴の中は新聞紙詰めます。
各種ボルト穴も新聞紙詰めてます。
真冬の塗装なんで塗る前にスプレー缶もキャリパー本体もストーブで暖めてます。
ちょっと塗ってはストーブで乾かします。
これを何度か行います。
3回くらい塗って仕上がりました。
このまま一晩置きます。
ここで2日目終了です。
シール類を組む
交換するゴムパーツ&再利用パーツ
スペアキャリパーから取り外したダストシール、オイルシール、スライドピンの蛇腹、ブリーダーキャップ、バンジョーガスケットです。
こいつら全て新品に交換します。
再使用するパーツ類で完璧にはほど遠いが汚れを落とした金具、スライドピン、キャリパーボルト、バンジョーボルト、ブリーダーボルト、ピストンシムです。
シルバーに塗って個人的には新品のキャリパー&ブラケットです。
シールの紹介
今回使うシールキットです。
ラバーグリスも付いてます。
しかしこれ使う人はキャリパー必ず外してる筈で、キャリパー外すって事はブレーキホースも外してます。
でもこのシールキットにはブレーキホースを取り付ける際に使用するアルミ製や銅製のワッシャーが付いてないので予め自分で用意する必要があります。
ブラケットから組む
スライドピンの蛇腹から取り付けます。
ブラケットのスライドピン穴をクリーナー吹いて綺麗にしてから蛇腹にシリコンスプレーして組みました。
取り付ける方向がありますがはめるだけです。
スライドピンにラバーグリス塗りました。
普段のメンテナンスではシリコングリス塗ってます。
スライドピンは金属の(黒い方)とゴムブッシュ付き(シルバーの方)がありますが、サービスマニュアルによると車両に取り付ける際に下側になるのがゴムブッシュ付きの方です。
スライドピン刺して蛇腹を被せて完了です。
車両に組むとき及びブレーキパッド取り付けるときでもOKですが金具も仮組しときます。
金具にも銅系のグリス塗りますが、それはブレーキパッド組むときに塗ります。
キャリパーボルトも仮組で刺しておきます。
オイルシールを組む
ここからはキャリパーの方に掛かります。
画像はオイルシールでラバーグリス指で塗ります。
付属のラバーグリスは100均の小さな(直径38ミリ)蓋付きケースに入れて使ってます。
使い終わっても保存も出来て便利です。
キャリパーの内側にもラバーグリス塗ります。
ピストンが入る穴には溝は2本あって奥がオイルシール手前がダストシールがはまる溝になってます。
尚、溝は事前にブラシ等使い掃除してます。
ブラシで落ちない汚れは真鍮ブラシ等で綺麗にします。
オイルシールがはまりました。
ダストシールを組むパターン1
ダストシールは組み方が2パターンあり私もyoutube等で何度も見ました。
まずはダストシール表も裏も、ピストンの側面もラバーグリス塗ります。
ダストシールは向きがあり画像手前側がパッド側、奥側がキャリパー側になります。
この組み方がパターン1でピストンにダストシールを被せピストンの下の方にダストシールを持って行き、キャリパーの溝に合せます。
文章では簡単ですが結構合せるのが難しいです。
おそらくこの作業がOHの1番難しいポイントだと思います。
なんとなく万力で挟んで固定しましたが必要ないでしょう。
ピストンをゆっくり指で押してピストンの溝にもダストシール合せます。
必ず(おそらく)何度か失敗しますが根気よくやればコツが分かります。
私も4輪車のOHやるの初めてでした・・・
ブリーダーボルトも取り付けます。
締め付けトルクは8.5Nmですが、頼りのスナップオンデジタルトルクレンチが10Nm以下は0.1の単位が設定できず、1Nm単位になるんで締め込むときには0.1の単位も動くんで数字見ながら締め付けました。
値段高いのにあかんやん、スナップオンの馬鹿野郎!
バンジョーボルトもガスケット(アルミワッシャー)入れて仮組しときます。
結局ブラケットにも仮組してこの状態で春まで保管します。
キャリパーOH1個完成です!
ダストシールを組むパターン2
もう1個のキャリパーはダストブーツの組み方変えます。
こっちがパターン2になりエアを使って組んでいきます。
先にキャリパーの溝にダストブーツ合せておきます。
ピストンでダストブーツ押さえます。
この状態でキャリパー裏のブレーキホース取り付け穴からエアを入れてダストブーツを膨らますように・・・シュー・・・エアの漏れる音。
ブリーダーボルト付けてなかったのでエアが漏れました。
8.5Nmで締めて取り付けます。
改めてエアでピストン押してダストブーツが膨らみピストンに入りました。
文章では簡単だがこのやり方もピストンに入ってもキャリパーの溝から外れたり何度かやって出来ました。
個人的にはこっちのパターン2の方が簡単に思えましたが、コンプレッサーが要るんで難易度は高いんかな?
ピストンを押し入れる際にもキャリパーの溝から外れてるのも分かりやすいし、やっぱこっちの取付方が良いね。
でもパターン1も2も1回では出来なさそう(プロでも)です。
ハーイ、ダストブーツも出来上がりです。
こっちのキャリパーもブラケット仮組で保管します。
今回の作業の感想
やろうやろうと思い続けて半年以上掛かりましたがやってみました。
まずは車両に取り付いてるブラケットを外すんで久々にノーマルのブレーキに乗ったんですが、やっぱ大径ローターの方が止まります!
何時も飛ばしてるわけでは無いのでストッピングパワーとかは分かりにくいですが、停車する直前の瞬間に効きが実感出来ました(パッドの特性にもよる)。
やっぱローターは大きい方が見た目もですが効きも良かったです。
作業自体はスライドピンが入る穴の掃除が大変でした。
サンドブラストしてるんでグリスに砂が混じり完全に綺麗にしないといけないし大変でした。
次回は穴をシッカリ塞いで作業します。
ダストブーツは2通りのやり方でやりましたが、どっちのやり方しても何回かは失敗しますが、経験にはなりました。
OH自体は以前乗ってたMH23Sは24万キロノーOHでも問題なかったんでそれほど必要では無かったかもですね。
使ってたオイルシールも全然問題無さそうでしたしピストンも綺麗だったんで・・・
長期放置車とか20万キロ超えた人向けかもです。
このOHしたキャリパーは春に新品ローター&パッド(昨年車検時に買っといた)と共に車両に組み付ける予定です。
まとめ
今回は以前大径ローターに交換した際からやろうやろうと思っていたキャリパーのOHをしました。
中古で大径ローターを買った際にセットで付いてたキャリパーをOHしたんで車両から外すこと無く数日掛けて行いました。
キャリパーとブラケットをバラし綺麗にしてからサンドブラストして新品シール類を組みました。
やっぱキャリパーOHするときにはダストブーツの組み込みが誰でも厄介な作業で、今回も2パターンの組み方をやってみました。
どっちもやってみるとどっちが簡単とか、どっちが確実とか色々分かったので良い経験になりました。
バイクではやった事のあったキャリパーのOHですが、バイクはオイルシールだけなんで簡単だが4輪車の方がダストシールがある分難しいです。
以前乗ってたMH23SワゴンRは24万キロまで乗りましたがOHなんて全然しなかったので、雨ざらしの放置車とかでピストンがサビサビとかで無い限り普通は必要なさそうに感じました。
まだまだ乗る予定のワゴンRなんであと10万キロくらいは乗れそうです。
ではでは・・・
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